ラベル チェスが上手くなるには・・・ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル チェスが上手くなるには・・・ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2013年7月5日金曜日

チェスが上手くなるには・・・5.自分のゲームの見直し

5回目。今回はゲームの見直しについて。

第五回目 チェスが上手くなるには・・・5.自分のゲームの見直し

1.ゲームの見直しの意義
 初級者段階で最も上達につながるのはタクティクスだと思うが、ある程度タクティクスもできるようになった次の段階(そしておそらく最後まで)で最も上達に役立つのは自分のゲームをしっかりと検討することだと思われる。

 ゴルフの本をいくら読んでもゴルフが劇的に上手くならないように、結局は実践→修正というステップを踏まない限り、レベルアップは望めない。したがって、いくら本を読んだところで、自分のミスを明らかにしてそれを修正するという作業がなければ、上達は望めない。 そのためにゲームの見直しが必須だ。

 特に初級者~中級者段階では、穴ぼこだらけなので、いかにしてそれらの穴を埋めるかということがよりいっそう重要となる。

2.具体的な方法
 具体的な方法論というのは、人によってまちまちだが、一般的に言われているような方法としては以下のようなものだろうか。

①ゲーム直後に、ゲーム中の思考過程で気になったものを書きだす。
②ブランダー、タクティクスに気づかなかったポイントを確定する。これはソフトですぐにチェック可能。
③ゲーム中での勝敗の別れ目のポジション、決定的だと思われるポジション(Critical Position)を確定する。
④ ①、②、③それぞれにつきソフトの助けを借りて検討する。
⑤④の検討の結果明らかになった問題点を一般化して要約する。
⑥オープニングのラインを検討。

(他にも、自分がプランが立てられなかったポジションにつき、データベースで似たポジションのゲームを探し検討するという興味深い方法を提案しているところもあった。 
http://chess4real.com/a-hardcore-guide-to-analyze-your-chess-games/

 一番無意味な検討というのは、「ここで間違えた」と確認だけして終わるというもの。これでは次に何も残らない。「なぜ間違えたのか」「それはどのようにすれば避けられ、そのためには何をすれば良いのか」というところまで明らかにすることが望ましい。 そうすれば、次に似た状況にあるときにミスを避けることができる可能性が上がる。 問題の原因の明確化→対策。これが重要。

3.例
 ゲーム中、誤った思考過程を辿ってしまうことは非常に多い。例えば、最近こんな例があった。


 
 上記ポジションで11...f6としてしまったが、ソフトの最善手では、11...Bxf5が示された。 なぜ、このポジションで11...Bxf5としなかったかといえば、e5のポーンがナイトとクイーンにアタックされていて浮いていると「勘違い」(誤った思考過程)してしまったからだ。(そして、クイーンと同じファイルにキングが並ぶのが避けたかった。)

 しかし、分岐に書かれているように、白はここで12.Nxe5とすることはできない。なぜなら、12...Nd4!があるからだ(13.Nc6+以外のバリエーションだと、ナイトがクイーンにピンされてナイトが落ちる、又は、Nxc2のフォーク)。

 これは結局、「e5が浮いているから、12...Bxf5はできない」という短絡的な思考に基いている。一般に、強制手順(forcing moves)はチェック・キャプチャー・スレット等が失くなる状態、すなわち静止状態(Quiescence)に落ち着くまで検討すべきとされている。

 しかし、上記のような誤った思考を辿ってしまったため、12...Nd4!という、クイーンをアタックする明らかな強制手を見逃してしまっている。 本来ならば、12...Nd4からのありうる強制手順も静止状態になるまで読むべきであった。(一般にこのようなミスは、Quiescence Errorという)

 したがって、上記ミスからは、「強制手順を含む手は、初見の印象に惑わされず、出来る限り静的状態に落ち着くまで読む」などというような教訓が得られるだろう。

 この例が果たして適当かはわからないが、いずれにせよ、「何が誤っているのか」ということを突き詰める作業こそが最も重要だ。原因が明らかになりさえすれば、対策を練ることができる。逆に、原因が明らかとならなかったら、その点については次回も間違う可能性が非常に高い。 そして、多くのミスが誤った思考過程に基くものであるから、誤った思考過程を矯正するということを意識すべきだろう。

 この作業を繰り返すうちに、「必ず」自分がいつも繰り返しているミスに気付くはずだ。後はそれを修正する努力をすれば良い。

4.その他

 できれば、自分のゲームは保存しておくことが望ましい。 私の場合は、CHESSBASEとFRITZを使っている。FRITZで具体的にゲーム検討して、CHESSBASEで細かい点について付加する等。 データベースがあること、検索が容易なこと、注釈のオプションが非常に豊富なこと、オープニング・レパートリーとのリンクが簡単なこと等々から、CHESSBASEが一番使いやすいと思う。

5.参考にしたページ
・10 Tips for analyzing your Chess games
http://roman-chess.blogspot.com.br/2009/08/10-tips-for-analysing-your-chess-games.html

・A hardcore guide to analyze your chess games in 12 steps
http://chess4real.com/a-hardcore-guide-to-analyze-your-chess-games/

・How to Analyze Chess Games
http://www.chess.com/article/view/how-to-analyze-chess-games

・Game Analysis for Improvement in Play
http://pathtochessmastery.blogspot.jp/2011/08/game-analysis-for-improvement-in-play.html

2013年6月28日金曜日

チェスが上手くなるには・・・4.タクティクスその2

 前回の続きでまたタクティクス。 これまた最初に述べるのを忘れていたが、このシリーズについては、一応は、私自身の意見というよりも、今まで読んだ本、ネットの記事等から得たものを基にして書くようにしている。

チェスが上手くなるには…4.タクティクス・チェックメイトその2

1.タクティクス問題演習の学習方針

 前回の記事でタクティクス・チェックメイトの基本的なパターンを覚えるのが重要だということを書いた。もちろん、その後は数をこなすべきということになる。その前にチェス学習について思うところを。

(1)パターン認識
 成人がチェスを学習する場合、子供に比べ、やり方を意識すべきだ。子供の場合記憶に対する刻み込みが成人よりも深いし、何より吸収力が高い。したがって、数をこなせばこなすほど身に付けるものも多いという面がある。しかし、大人の場合はそうはいかず、すぐに忘れるし、がむしゃらにやっても効果は薄い。

 また、何より、一日に3時間以上チェスにかけるなんていうことも現実的には厳しい。そう考えると少ない時間でできるだけ上手くなりたいなら、有効に時間を活用しなければならない。じゃあ、どうすべきか。

 現在チェス界では、マスターとそれ以下の最大の差は、それまでに蓄えてきたパターンのストック数にあるということが半ば通説化しているようだ。Adriaan de Grootという学者が、同じポジションにつきマスター、アマチュアに考えさせ、思考過程を述べさせるという実験をした。結果、読みの深さには大して差はなく、マスターらはむしろ「直感」によって最善手を選んだ。そして、その直感とは何なのかといえば、前に見たことがある、つまり、「似たパターン」を知っていたということにあった。

 De Grootの実験で用いられたポジションはタクティカルなものではなくポジショナルなものであったが、パターン認識能力はもちろんタクティクスにも関わる。むしろ、タクティクスこそがパターンを知っているかということが重要になる。

 確かに、日々タクティクスの本を解いていて、それが何が目的なのかと考えれば、目の前の問題を解くことではないだろう(もちろん、タクティクス問題を解くこと自体に喜びを感じるのならば別だが)。 むしろ、何十問か何百問か解いている問題のうちに「似た」問題が実戦に出た時に解けるようにするためだろう。

(2)具体的方針
 以上のように考えると、タクティクス演習で主眼とすべきは、無目的に問題数をこなすよりも、パターンのストックに重点を置くべきということになる。つまり、むやみやたらに多くの問題を適当に解いていくのではなく、一定数の問題を「繰り返して」確実に「潰す」ことを優先すべきことになると思う。記憶に刻み込むには、結局、集中力と繰り返ししか方法はない。

 「潰す」ということが人によっては2周することかもしれないし人によっては7周することかもしれない、そのあたりは個人差はあるだろう。いずれにせよ、薄い印象の数を増やすよりも、繰り返して無意識レベルまで叩きこまれた濃い印象を残すべきだ。 タクティクスのパターンも限られている以上はなおさらだ。

 このように考えると、具体的演習方法としては、繰り返しがしやすいという点で、ネットのタクティクスサイトによるよりも本に軍配が上がるだろう。もっとも、Chess Tempoの有料版では、「2013/6/29日以降に間違えた問題」というように指定することができるので、Chess Tempoでも十分いける。


2.タクティクスの仕組み理解
 
 最近、2冊ほど面白い本が出ている。Understanding Chess Tacticsという本とTune your Chess Antennaという本だ。後者については前々回の記事で触れた。

(1)Understanding Chess Tactics
 まず、前者のUnderstanding Chess Tacticsだが、この本は、フォーク、ピン等々のタクティクスのモチーフの仕組みについてこれでもかというぐらい詳しく解説してくれている。例えば、ピンであれば、ピンする駒、ピンされた駒、背後の駒と3つの要素に分けて、それぞれの要素に固有の問題点についてチェックしていくという徹底ぶり。

 この記事を読めば詳しいことはわかるが(なかなか示唆的なのでオススメの記事)、この本の著者は25歳からチェスを始めてFMになったという異色の経歴を持つ。この人も同様に、大人がチェスをやるのならば、合理的に考えて学習すべきとする。そして、タクティクスについても、タクティクスの構造をしっかりと理解して、その発生条件を理解すべきとする。その主張の顕れがこの本ということになる。

 ただ、ドイツ語からの翻訳版なので文章が読みにくく、英語が苦手な人には読みにくいかもしれない。 その点を除けば、非常に素晴らしい本。理詰めで考えたい人にはオススメ。第二版は、巻末に300問の確認問題もある。

(2)Tune your Chess Antenna
 こちらの本もUnderstanding Chess Tacticsに趣旨は似ているが、微妙に異なる。Understanding Chess Tacticsの方が、タクティクスのモチーフそのものに焦点を当てているが、こちらの本は、もっとざっくりと、「一般的にどのような条件が揃った場合にタクティクスが発生しやすいか」ということに焦点を当てている。

 具体的には、前々回の記事の「2.タクティクスの回避」の項で述べた要素について、軽く解説を付した後、問題演習用の問題が提示される。 文字数が少なく、英語も平易なので、英語が苦手な人でもオススメできる。 

2013年6月15日土曜日

チェスが上手くなるには・・・3.タクティクスその1

 前回まででミスについてのお話は終わり。ミスを減らすという作業が自分のマイナス部分を除去するという作業とするなら、今回から扱う内容は、プラスを加算していく作業。(ただし、特に初中級者の段階ではマイナス部分を除去するという作業が重要と思われる。)。すなわち、タクティクス、ストラテジー、オープニング等について扱っていく予定。

チェスが上手くなるには…3.タクティクス・チェックメイトその1

 はじめてばかりのプレイヤーが実力を伸ばしたいと考えるならば、何よりもまずタクティクスに習熟する必要がある。タクティクスによって駒得すれば勝てるし、逆もまた然り。万年ナイトフォークに気づかないようでは実力は絶対に伸びない。また、チェックメイトのパターンも同様に覚えなければならない。

 では、タクティクスの実力を伸ばすために何をすればよく、どのようにすれば効率が良いか。(以下では、「大人」の学習を念頭に置いている。)

 これについてはいろんな考え方があるが、一般的に述べられていることをまとめたら次のようになるだろう。

①タクティクス・チェックメイトの各モチーフを理解する。
②問題演習
番外 タクティクスの仕組み理解

今回からそれぞれについて扱っていく。まずは、モチーフの理解について。

1.タクティクスのモチーフ・メイトのパターン

 タクティクスのモチーフとは、ピン、フォーク、ディスカバードアタック、Zwischenzug(In-between moveとも言う)等々のことである。 具体的には

http://chesstempo.com/tactical-motifs.html

ここのページに非常に細かく分類して書かれている(英語)。

「チェス入門」にもピン等のいくつかの基本的なモチーフが紹介されている。

http://chess.plala.jp/

 実戦において、強制手順をひたすら潰して手を読んでタクティクスを発見するということもある。しかし、複雑なタクティクスになればなるほど、最終的な局面、つまりタクティクスのモチーフの原型状態を想定して手を読むということが多くなる。特にメイトならばほとんどの場合、メイトの最終形を想定して手を読むだろう。

 例えば以下のような例では、最初にナイトフォークというモチーフに気づいてから、それを「達成」するために手順を考えることになるだろう。



 最初の段階では各モチーフがどのように現れるのかということをしっかりと理解することが重要だ。そして、パターンの学習に注意を傾けるためにも、難しい問題ではなく簡単な、モチーフがわかりやすく表れている問題を繰り返し解くことが有効と考えられる。

 では、タクティクス・メイトのモチーフ・パターンを理解するためには何をすれば良いか。具体的には本による学習とソフトウェア・タクティクス専門のサイトによる学習が考えられる。人によって好みがあるだろうから、複数紹介することにする。

 いずれの方法によるにしても、繰り返すことが重要だ。そもそもこのような「問題演習」を行うのは、問題で学んだ局面と「似た」状態が実際のゲームで現れた場合にこなすためだ。したがって、特に基本的なモチーフ・パターンについては、見て即座に解けるというレベルにするのが望ましい。

(1)本による場合
ア タクティクス
 以下に挙げる本は、①タクティクスのモチーフの解説(または、モチーフ毎による分類)があり、②難易度が低い問題を集めたもの、という条件を満たす本の中からオススメできるもの。どれか一冊あれば十分だろう。

- Winning Chess Tactics
 Winning Chess Tactics。初心者のタクティクスの第一冊として進められることが多い。各モチーフの説明が丁寧になされているし、難易度は低い。難点はタクティクスの問題集の割に文字が多く、読むのが面倒、そのくせ問題数が少ない。まずは解いて覚えたいという人にはオススメしない。確か300題程度。

-Chess Tactics for Students
 Chess Tactics for Students。アメリカのDan Heismanというコーチ一押しの本。考えるより慣れろタイプの本。 各チャプターの冒頭に軽くモチーフの説明の後、数十問の同モチーフを用いた問題がある。問題のレベルは簡単。個人的には初心者がモチーフを理解する上では、最善に近い本だと思う。しかし、手に入れるのが面倒(米国Amazon.「com」か直販サイトで購入する必要あり)。したがって、そこまでして手に入れる価値はなく、他の本で代替可といえる。430問程度。

-Chess Tactics for Champions
 Chess Tactics for Champions。有名な5334問のタクティクス本の著者の娘、スーザン・ポルガーの本。この本も各チャプターに軽くモチーフの説明と例題を載せた後に、同モチーフを用いた問題を数十題提示するというタイプ。難易度としては、chess.comのタクティクス問題の1300~1600程度か、前者2つより難易度は高い。この本も個人的にはオススメ。570問程度。

-Learn Chess Tactics
 Learn Chess Tactics。イギリスのGM John Nunnのタクティクス本。この本も同様に冒頭に各モチーフの説明+例題というスタイル。ただし、説明は上記ポルガー本よりも詳しい。難易度はポルガー本より若干難しい程度。オススメ。600題程度。

-1001 Chess Exercises for Beginners ★
 1001 Chess Exercises for Beginners。最近出版された本。もともとはイタリアで販売されていた本が翻訳されたもの。題名の通り1001問。もっとも、内容は「Beginners」と書いてあるが、問題のレベルは初級~中級程度と幅広い。 この本も冒頭に各モチーフの説明+例題、その後に問題というスタイル。説明は薄い。ただし、メイトの問題も多い。何より問題数が多いことが魅力。値段も安い。個人的には、何か一冊となった場合、値段・手に入れやすさを考慮すれば、現時点ではこの本がベストではないかと思う。

-Chess Tactics
Chess Tactics。 タクティクスのモチーフの分類が細かく、解説も丁寧、問題も簡単すぎず難しすぎず適度。一冊目としてオススメできる。ただ、絶版のため入手困難かも。中古で手に入ったらラッキー。ただし、あえて高い金を出して買う本ではない。

-Simple Chess Tactics
Simple Chess Tactics。 ここに挙げた中では最も簡単な本。かなり薄めのモチーフ解説の後、かなり簡単な問題が続く。他の問題集が難しすぎるという人にはオススメ。

-Power Chess For Kids
 Power Chess For Kids。 いかなる状況であっても強制手順は読むべきであるが、その重要性を説いている本。子供向けの本だが、強制手順を読むことの重要性が改めて理解できる。一応タクティクスのモチーフ解説もある。 上記いずれか一冊+αの本として初心者にオススメ。 ちなみに、この本のレベルアップ版でForcing Chess Movesというものがあり、相性がよいと思われる(但し、そちらはずっと難しい)。

イ メイト
-チェックメイトの技法(The Art of Checkmate)
 まずは、チェックメイトの技法。英語版は、The Art of Checkmate。有名なチェックメイトのパターンを詳しく説明かつ網羅している。ただし文字が無駄に多く読むのが面倒。

-Checkmate for Children
 次に、Checkmate for Children。 知名度はあまり高くないが個人的にはオススメの本。 メイトとなりうる駒の配列を一覧で冒頭に紹介、そしてそのパターンを用いた問題がそれに続く形。視覚的にメイトの形が覚えやすい。丸暗記しやすいと思う。オススメ。

 メイトの問題本はたくさんあるが、メイトパターンを重視して解説している本は上記二冊が良いのではないか。

(2)ソフトウェア・ウェブサイトによる場合
-Chess Tempo ★
 まずは、Chess Tempo。個人的には、このサイトの有料版があれば、他の本は不要なのではないかと思う。有料版登録すれば何ができるのかというと、タクティクスのモチーフ・難易度・手数・ユーザーによる評価・当該タクティクスの派生してきたオープニング・ユーザーによって解かれた回数・作成日時・自分が間違えた問題・駒の数…等々、非常に細かい設定をもって問題を絞り込むことができる。 例えば、「Sicilian Najdorfから出現するタクティクスで、駒の数は総数28個程度、1980~2012年のゲームからのタクティクス」なんていう指定も可能。

 しかも、上記で紹介したようにモチーフの分類が非常に細かい。 このサイトがあれば、各モチーフ毎の問題群、自分の問題集も作れる。例えば、ピンで50問、フォークで50問…、問題の難易度はRating1000-1200などと設定すれば良いだろう。それだけで自作の良質パターン特化問題集が作れる。

 料金は、ゴールド会員で月4$又は年間35$。タクティクス本を買いまくってお金を無駄にするよりこのサイト一本というのでも十分ではないかと思われる。
 
-Chess.comのChess Tactics Trainer
 ひたすらタクティクスを解くだけの場所。難点としては、問題の復習がやりにくい、モチーフ毎の分類ができない、その他Chess Tempoのような問題の分類ができない。ただ、Chess Tempoに比べレーティングが上がりやすく、上達が目に見えてわかりやすく、実力チェックには最適か。
 Chess Tactics Server等他にも似たようなサイトが複数あるが、似たりよったり。

-Chessimo
  Chessimo。ソフトウェア。なかなかおもしろいコンセプトのタクティクス・メイト・エンドゲーム・ストラテジー全ぶち込み問題集。 チェスで最も重要なのはパターン認識であるという理解を前提に、普通に解いて進めていくと全ての問題を7回、回せるように作られている。

 具体的には、問題がユニットにわかれているのだが、まずは今回の問題30題、次に前回の問題20題の復習、前々回の問題20題の復習…全部合わせて150題といった風に、復習が自動的に組み込まれている。 親切に、day1,2~と、毎日すべきプランまで立ててくれている。(一日分にしては多すぎる気もする量だが・・・)

 タクティクス・メイトのパターンについての説明はない。しかし、解いてみたらわかるが、モチーフが理解できるように超易→易→中→難とうまいこと問題の順番が作られており、自然にモチーフ・パターンを理解できるようになっている。

 ただし、量が非常に多く、「Tactics」編については、多くの人がチェックメイトの章で力尽きるのではないかと思われる。(タクティクス編は6チャプターほどあり、1つのチャプターにつき50ユニット、1つのユニットの中に80~250題程度。チェックメイトは第一チャプター。)。 問題数としては、タクティクスが4000問程度、ストラテジーが700問程度、エンドゲームが1400問程度というマンモス容量。 しかも、それが7回繰り返される。お腹いっぱい。

 何も考えずにプランを立ててくれるので、スパルタ教育が好きな人にはオススメ。

-ChessOKのソフトさまざま
 ChessOKという会社(旧名Convetka)があり、非常に多くのソフトウェアを販売している。特に、CT-ART 4.0というソフトがおそらく最も有名。 Michael De La Mazaという人物が、Rapid Chess Improvementといういかがわしい本の中で、「タクティクスばかりやればFIDEレーティング2000に到達できる、俺はCT-ARTを8回繰り返して、レーティング2000に行ったよ!」といういかがわしい主張を揚げ、真似をする人が続出したらしい(結果的にはほとんどの人が同じような成果を残せなかった)。

 話を戻すが、CT-ARTは1000問程度の問題集。タクティクスサイトのようにマウスで手を選ぶという方式。解く方法としては、第一問目からひたすら解くという方法もあれば、タクティクスのモチーフ毎に解くという方法もある。 問題の正誤数により自分の概算レーティングも算出してくれる(超がつくほどの適当算定だが…)。 難易度は高め。Chess.comのタクティクス問題の1700~2000以上ぐらいか。したがって、モチーフ・パターンの理解の初歩としては難しすぎるだろう。中級者以上の人がモチーフ・パターンの再確認としては有用なのではないか。

 CT-ART以外にもタクティクスのソフトが充実している。ただ、片手間で作った臭がするソフトも多く玉石混交。少なくとも、タクティクスのソフトに関して言えばCT-ART以外に特にめぼしいものはないだろう。(エンドゲーム、ストラテジーに関しては非常に評判が高いものもある。)

2013年6月5日水曜日

チェスが上手くなるには・・・2.ミスの回避

 前回の続き。ミスをいかに減らすか。 (ミスを減らすというテーマについては、以前のブログの記事で扱っている。どちらかといえば本で書かれているミス減少メソッドの紹介という形になっているが、興味のある人は参照してほしい。)

 Dan HeismanのA guide to Chess Improvementでは、手を選ぶ際、以下のような思考過程を経るべきとされる。

    相手の脅威の確認。特に、強制手順(forcing moves)の検討。
    相手のとりうるプランの確認。 自分のプランの確認。
    無条件にforcing movesは最初に全て検討。
    ③でタクティクス等がなければ、自分のプランを達成させる手を「全て」チェック。なければ、相手のプランを阻害する手を全てチェック。(Initial Candidate Moves)
    ④における手を、安全か(blunderに至らないか)どうかという観点から、剪定する。
    ⑤において残った手の中から、最終ポジションの比較によって最も優れているものを選ぶ。(Final Candidate Moves)

 この中の①がミス回避に相当する。ただ、相手の強制手順を検討するといっても、特に注意すべきところがあり、そこに注意すればより多くのミスが減らせると思う。 以下、詳しく述べる。

1.タダ取りの回避
 そもそも、駒がタダ取りされるというのはどういう場合が多いか。次のような場面が多いのではないだろうか。

 「相手の強制手で危険なものはない・・・手の検討に入ろう ・・・ ここでd5としたら、駒損するし・・・かといって、Nd5としてもe6で追い返される・・・(数分経過)。  わからん・・・いろいろ考えたけど、Qg4にしよう! ・・・ あ、やってもうた!!!・・・(相手のナイトの利きに気付かず、クイーンタダ取り)」

 今もこういうミスをよくしてしまう。散々他の手を考えた挙句、ほぼ無根拠にある手を選び、それが大悪手、場合によっては、タダ取りされてしまう。 一応最初に相手の強制手順の検討も行なっている。しかし、ミスをしてしまう。 理由は簡単だ。単に、自分がこれから打つ手の安全性を確認をしていないというだけだ。

 経験上、数あるブランダーの原因の中で最大のものは、これから打とうとする手の安全確認をしていないということにある。逆に言えば、これから打つ手の安全確認を入念に行えばミスは大幅におさえることができる。

 具体的には
①動かした駒が守られているか。
②動かした駒は別の駒の守りを外していないか(そして、結果、浮き駒が発生していないか)
③動かした駒が別の駒の利きを妨害していないか(そして、同上)
etc...

 つまり、自分がある駒を動かすことによって生じる盤面への影響、手の意味、を検討する。 ある手が頭に浮かんだとしても、実際に打つ前に、この思考を絶対に忘れないようにする、これだけでミスは劇的に減少するはずだ。 実際、打つ前のミスチェックを丁寧にするようにしたら、ミスは劇的に減った。 そして、この作業は慣れたら時間もかからない。

 整理すれば・・・

①手の選択
②手を打つ「前に」入念に、これから打とうとする手の「意味」(上述参照)をチェック。
③実際に打つ


2.タクティクスの回避

 浮き駒があるかどうかということは注意を持って盤面を見れば誰でも気付く。 しかし、タクティクスの場合だとそうはいかない。しかし、ここでいうタクティクスは複雑なタクティクスではなく、1~3手程度の簡単なタクティクス。

 まず、相手のタクティクスを回避するためには、最低限のタクティクスのパターン(フォーク、ピン、ディカバードアタック、等々)を知っておかなければならない。特にメイトは完全にパターンなので必ず覚える必要がある。 (タクティクスのパターンについては、個人的には、Chess Tempoの有料版がオススメ。かなり細かくタクティクスのモチーフ毎に分類されており、難易度に応じて自作の問題が作成可。)

 パターンを覚えたとして、相手のタクティクスに気付くにはどうすれば良いか。タクティクスの「問題」ならいざしらず、実戦でタクティクスに気付くのは案外難しい。

 この点については、そもそもタクティクスはどのような場合に発生するのかというタクティクスの発生条件に注意すれば良いと思われる。 これについては、 Tune Your Chess Tactics Antennaが詳しい(むしろタクティクスの発生条件に詳しく述べた本はこの本と、Understanding Chess Tacticsぐらいか)。 この本曰く、タクティクスが発生しやすい条件というのは

①キングのポジションが危険であること
特に、キング周りが開きすぎ/閉じすぎ、の場合はメイトが発生、あるいは、メイトスレットを応用したタクティクスが発生しやすい。

②守られていない駒があること
→通常、ダブルアタック等のタクティクスは浮き駒があることが発生条件。特に複数個ある場合は要注意。

③同一直線上の駒の配置に危険性があること
→例えば、キングとクイーンが同一直線上にある等、危険なラインが存在しないか。 ピン、スキュアー、ディスカバードアタック等が発生する可能性。

④ナイトがフォークをできる位置にいること
→ナイトが数手先でフォークすることがないか。ナイトは動きが変則的であるから、その進路の検討。

⑤極端に窮屈な配置の駒が存在すること
→トラップされる可能性。

⑥重要なディフェンスの役割を負っている駒の存在/負担過剰の駒の存在
→例えば、メイトを防ぐ守り駒が1つしかない状況等では、その駒が決定的に重要となってしまいタクティクスが発生しやすい。また、1駒で2個以上の防御の役割を果たしている駒が存在する場合もタクティクスが発生しやすい。

⑦守る駒が少ないこと・守る駒が遠すぎること
メイトのスレットがあるのに、キング周りに駒が少ないとメイトされてしまう危険性がある。また、駒が盤面の一方に偏っている場合も、もう一方のディフェンスが疎かになりタクティクスが発生しやすくなる。

上記7つはいずれも、タクティクスが発生する蓋然性が高い条件であり、これらの条件がそろうからといってタクティクスが発生するとは限らない。しかし、①~⑦のような観察をすることができるようになれば、タクティクスが発生するかどうかの見極めが容易になる。(もちろん、これは、自分がタクティクスを決めようとする場合も同様)。

3.まとめ
 非常に長くなった。 ここで書いたミス回避の思考過程をまとめるとすると・・・

①手を考慮する「前」の盤面の確認。
→タダ取りされる駒の有無の検討。タクティクスの発生条件の有無の検討。
②手の選択
③打つ「前」に、②で選択した手によって浮き駒が発生しないか、タクティクスが発生しないかを検討。
④実際に打つ。

①③いずれの作業も慣れれば時間はかからない。特に、③が忘れがちだが、重要。

2013年6月1日土曜日

チェスが上手くなるには・・・1.初中級者と上級者の最大の差

 1年間ブログを書いていなかったので、いくらか書きたいことが溜まっている。

 まずは、上達するためにはどうすればいいかというテーマ。自分よりも遥かに上手いプレイヤーがブログを書いている中で、こういうテーマについて書いたとしても需要があるかはわからない。 しかし、初級者から中級者あたりの上達についてまとまった形で述べたものが少ないため、特に初級者の人には参考になる「かも」しれない。 もっとも、私自身ネットでしかチェスの経験もなく、大して強くもないポンコツプレイヤーなので話半分で読んでもらいたい。

チェスが上手くなるには・・・1.初中級者と上級者の最大の差

 chess.comのStandard15m10sのゲームで、レーティング1450ぐらいから負けたゲームについては見直しと一言メモのようなものを残すようにしていた。 一般的に、自分のゲームの見直しが一番勉強になると言われているのでそれに従った結果なのだが、それなりに収穫はあった。

 結果的に50試合程度の見直しとメモを残した(最近は面倒なのでしていない)。実際にやってみると、自分のゲームの見直しというのは、ミスを抽出して自分の陥りやすいミスを一般化し、それを修正する作業なのだとわかる。というのも、残したメモを見ると多くが重複しており、それが何度も繰り返されているからだ。実際、それらの類型的なミスを修正しようと意識するとレーティングは一気に上がった。

 ミスで最も多かったのは、駒損の「見落とし」だった。 上級者と初中級者の最大の違いは、タクティクスの読みの深さでも、ストラテジーの知識の豊かさでも、エンドゲームの知識でも、ましてやオープニングの知識でもないということに改めて気づいた。単純に初中級者は見落としミスが多くそれゆえに負ける。SoltisのWhat It Takes to become a chess master(チェスマスターになるためには何が必要か) に、レーティング1900に達するためにはブランダーをしなくなることにより達成できると書かれているが、まんざら嘘ではないのだろう。

 そう考えると、やはり、初中級者が上手くなろうとしたら、ミスを減らす努力をすることが最も効果的ということになる。 (なお、ここでいう初・中・上級者という言葉は、大体、chess.com Standardで、~1300、1300~1900、1900~ぐらいのイメージで使っている。)

 ミスといっても様々な種類がある。相手の8手のコンビネーションが読めなかったからクイーンを落としたというものもあれば、1手のナイト・フォークに気づかなかったというものもある。単に駒が浮いて(en prise)いることを気づかず「タダ取り」されてしまうこともある。 あるいは、駒損をしなくとも、キング周りのポーンの形が壊される手を打ってしまったというようなものもある。

 もっとも、初中級者の段階で一番重要なのは、これらのミスの中でも、「タダ取り」、「一手のタクティクス」を決められないことだ。 あまりにもレベルが低い話のようだが、少なくともレーティング1700ぐらいまでこれは変わらない(ここでの「レーティング」はchess.com Standardのこと)。 おそらく1800でも変わらないのではないかと思う。レーティングが1200~1400ぐらいのときには、1600以上になったら、そういうレベルの低い話から解放されるのだと思っていたが、そんなことはなかった。 若干インフレ気味だが、現在chess.comのレーティングが1700あたりをさまよっているが、ほとんどのゲームの勝敗がそういうしょうもないミスで決まる。

 本で得られるような知識をいくら詰め込めもうとも、こういったミスを減らすことができなかったら上達できない。いくらバッドビショップが…とか、ポーンストラクチャーが…なんて考えたところで、タダ取り・一手のタクティクスが決められまくっているようでは、まさに下手の考え休むに似たりとなってしまう。

 では、具体的にどうすればミスを減らせるのか。これについては次回以降の記事で扱いたい。