2013年7月17日水曜日

フィリドールの音楽

 チェスでフィリドール(Francois-Andre Danican Philidor)というと、フィリドール・ディフェンス(1.e4 e5 2.Nf3 d6)が思い浮かぶ。チェスの歴史を少し調べればすぐに出てくる人で、「ポーンはチェスの魂」という言葉で有名。ベント・ラールセンが、最も時代を先んじていたという意味では、最も偉大なチェスプレイヤーだったと評価している。ただし、フィリドールの考えを理解する同時代人はおらず、彼の考えが理解されるのはだいぶ後になる云々云々、そんな話をよく聞く。

 そんなフィリドールだが、フィリドールは音楽家としても有名だった。バッハ一族ではないが、フィリドール・ファミリーは音楽家の家系だった。これらのことはWikipediaにも書いてある。

 以前からどんな音楽を書いていたのかは気になっていた。今日思い立って、NML(Naxos Music Library)でCDを見つけたのでいくつか聴いた(CD) 。聴いたのは「転調の技法(The Art of Modulation)」。ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、オーボエ、チェンバロの四重奏曲。

Youtubeに1番の第一楽章だけあった(CDには6番まで収録されている)。





 この1番の第一楽章にしてもなかなかよいではないか。バロック時代のノリの良い対位法音楽は大好物なので、1;16~からの緊迫感のある掛け合いなんて大好き。 一段落してからの(若干陳腐な)泣かせるメロディー(2:37~)など非常にヘンデルっぽい。
 他の2~6番通して、全体的に健康的、快活でわかりやすい。ひねくれた曲はない。また、メロディーメーカーとしての才能も感じる。口ずさみたくなるような心地良い旋律が随所に現れる。そして何よりリズム感が良く、聴いていると自然に身体が揺れる。他の音楽も聴いてみたくなった。

 惜しむらくは鍵盤楽曲を残していないことか。おそらくいくつかは鍵盤作品も残しているのだろうが、少なくともIMSLPでは見つからなかった。ネット上の楽譜店でも扱っていない。 知っている人がいたら教えて下さい。

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