2014年3月16日日曜日

The Amateur's Mind 、 ビデオその他

1.The Amateur's Mind

(1)初心者向けではない
 アメリカのIM Jeremy Silmanの本はどの本も非常に評判が良いが、エンドゲームの本以外長らく読んでいなかった。 チェス本の整理をしていて、The Amateur's Mindがあったので、少しだけ読んだ(ちなみにこの本は、How to Reassess your Chessの前段階ぐらいのレベルの本とされている)。

 実はこの本はレーティングが1300ぐらいのときに一度読もうとしたことがあったが、その時はよくわからなかった。 そもそも、ゲームの主眼がタダ取りをされないこと、基本的なタクティクスを見落とさないこと、といったレベル(~1400ぐらい)の段階ではストラテジーの知識は、センターを支配する、オープンファイルをルークを配置する、ナイトでアウトポストを支配する、といった基本的な戦略の知識以外は不要だと思う。 そんな段階のときに読んだから、良さがわからなかったのだろう。

(2)本の中身
 本の中身については、やはり評判が良いだけあってかなりタメになる。 この本のスタイルは、あるテーマ(例えばビショップVSナイト)毎に章分けされていて、最初に当該テーマを体現するようなゲームを紹介、次にアマチュア(レーティング900~2200ぐらい)の人たちに同じポジションをプレイしてもらい、手を選ぶときにどんなことを考えているか口に出して言ってもらう。 その上で、アマチュアの思考過程をSilmanが批判していくというスタイルの本だ。

 実際に本の中で登場するアマチュアたちが口に出す言葉は、まさに自分と同じようなものだった。 そして、それに対するSilmanのかなり厳しい言葉を読むと、いかに自分が何も考えずに、なんとなく手を選んでいたのかということがわかる。改めて考えれば、今までまともにプランなんて考えずに指していた。 例えば、本の中でアマチュアが繰り返すミスの一つとして、「相手の手に驚いてしまって、当初の自分のプランを放棄し、相手の思うがままに操られる」というものがあるが、まさに自分に当てはまる。

 もちろん、現代のスーパーGMといったレベルになればまた話は別になるのだろうけれど、上手くなっていけばいくほど、両プレイヤーともに明確なプランをもってそれをぶつけ合っていくという形になる。 そういうレベルになれば、もっと自分で「考えて」指すことができるのだろうと思う。 今の段階では、「なんとなくこの手が良さそう・・・ついでにブランダーではない・・・よし」的な思考過程なので、プランなんてものとは程遠い。 局面評価はできないし、自分の手が良いか悪いかについて明確に理由付けすることができない。

(3)現状と課題
 ①正確な読みができること(主に視覚化の能力)、②局面評価がある程度できること、③プランをある程度立てられるようになること、④タクティクスのストックを増やすこと、これらが今の自分の問題だと思っている。  これらをちゃんと向上させることができれば、もっと上手くなれるだろうと思う。

  ①は果たして向上させることができるかどうかわからないが、寝る前に視覚化の練習を5分ぐらいやることにしている。 ②③については、とりあえずSilman本(The Amateur's MindとHow to Reassess your Chess)を徹底的に潰すことをとりあえずの目標にしようと思っている。 ④については、タクティクスを解き続けることが重要で、後はUnderstanding Chess TacticsやTune Your Chess Antennaといった本も読もうと思っている。

2.ビデオ

(1)ビデオを観た
 ビデオビデオと言っていたので、chess.comでDaniel RenschのIQPのビデオを観た。 やっぱり、ビデオの方が頭に残りやすい。 一応ビデオを見ながら記録はChessbaseで残しているが、本を読むよりずっとわかりやすい。 わかりやすいというか、話し言葉なのでどこが重要かといった点が明確なので、頭に印象づけられやすい。

 確かに一部の非常に優れた本は存在するが、そういった本を除いては後はビデオ任せというのも一つの方法かもしれない。 chess.comのみならず、ICCにもかなり大量のビデオがあるのでそういったビデオを一日一個ぐらい観ていくだけでも相当ためになりそうだ。

(2)ビデオサマザマ
 例えば、ICCにはJohn Watsonのポーン講義が大量にあるが、こんなのを全部見れば、Drazen MarovicやAndrew Soltisのポーン本を読むより、案外ずっと頭に残りやすいかもしれない。chess.comにもPawn Structureの講義シリーズがある。

 ちなみに、ICCのビデオについては、「Game of the Day」というビデオの一部については無料で観れるようだ。 ご丁寧に昔のGame of the Dayのビデオをオープニング毎に分類してくれているブログがあった。興味がある人はどんな感じか観てみると良いと思う。

http://bishopsbounty.blogspot.jp/2009/05/113-grandmaster-chess-videos-free.html

 現在、ICCは1ヶ月体験コースを実施しているので、仮入会してビデオを観てみてよかったら入会するというのも一つかもしれない。

2014年3月7日金曜日

読みと視覚化

 タクティクスをちまちまとやっているが、やっぱり読みが弱いと自覚する。 読みが正確にできるかどうかは実力にももちろん影響する。 なんだかんだ言って、マスターであったりエキスパートぐらいのレーティングのプレイヤーとそれ以下のプレイヤーを分けるものの大きな要素の一つとして、読みの力がある。

 そして、これは成人からチェスを始めた人と子ども時代からチェスを取り組んでいる人の違いの一つでもあると思う。 子供時代から将棋なりチェスなりに親しんでいたら、頭の中でボードを思い浮かべるのはそれほど難しくないだろう。 そして、成人プレイヤーがある程度以上に上達し難い原因の一つでもあるだろう。

 読みの力で重要なのは何よりも正確さだ。 仮に5手(相手の手も含む)を正確に読む力があれば、その他の能力が高ければ相当に強いだろう。 確か、ソルティスのStudying Chess Made Easyにも、普段から5手正確に読めれば十分と書かれていた。 

 例えば、仮に候補手が3つあって、それぞれの分岐が総計10あるとする。 正確に読むことができるなら、一つ一つ検討していって最終的に手を決定するのは難しくないだろう。 ただ、読みが弱いと、ひたすらに同じヴァリエーションを検討し続けて、進んでは戻って進んでは戻っての繰り返しで、非常に効率の悪い読みを繰り返し、結局何が何だかわからなくなるなんてことになってしまう。

 読みが正確にできない最大の理由は、頭の中で明確な視覚化(Visualization)ができないことにある。

 例えば、TisdallのImprove you chess Nowでは、読みを正確にする方法として、「飛び石」(Stepping stones)の方法を紹介している。 どういう方法かというと、2、3手読んだら、その時点での局面を頭に焼き付け記憶し、ヴァリエーションの検討をそのポジションから始めていくというもの。 一気に5、6手読むと混乱しやすいので、2、3手先の局面を頭の中で固定化し、そのポジションから検討していけば良いのだとする。

 なるほど、と思えそうだが、できない。 そもそも、2、3手先であっても正確に頭に残すことができない。 もしかしたら訓練したらできるようになるかもしれないが、現状ではできない。 もちろん、おぼろげに2、3手であれば頭に残るが、例えばそれが8手のタクティクスとかだったら、5、6手あたりでどんどんと不明確になる。

 ということで、視覚化を明確にすることができれば、Tisdallの主張するような方法で正確に読みができそう。 同時に、それができるようになればタクティクスもゲームもかなり良くなりそうな気はする。しばらくの課題だ。

 読み、視覚化を向上させる方法としては、まずは単純に普段からタクティクス問題などで最後まで読み切る練習をすることが挙げられる。 他には、エンドゲームのスタディ(パズルのように解くことを目的として作られた人為的なポジション)などをやることも良いとされる。

 視覚化を強化することを特化している方法については、hitsujyunさんがかなり詳細にまとめられている(http://imaging-board.blogspot.jp/ 他にも、手元に何もなしでできる方法としては、http://www.braillechess.com/rreid.htmlここも参考になる。 特に、ナイトでa1からスタートして全マスにナイトを移動させるという方法は結構良さそうだ。 昨日寝る前に試してみたが結構難しい。 本としては、上述のImprove your Chess Now の他にPractical Chess Analysisという本がこのテーマについて扱っている。

 しばらく読みの強化に取り組んでみようかと考えている。

2014年3月3日月曜日

Svetozar Gligoricの曲

わりとどうでもいい話。

ユーゴスラヴィアの伝説的なチェスプレーヤーでグリゴリッチ(Svetozar Gligoric)という人がいた。結構多趣味な人だったらしく、88歳にして初めて自分が作曲した曲をCDとして発売した。88歳のおじいちゃんの曲ということで古めかしい曲ばかりと思いきや・・・ ノリの良い曲がやたら多くて驚いた。なんとラップまである。Youtubeで聴けるのでいくつか紹介してみたい。 聴いてみるとわかるが、とてもじゃないが88歳の曲とは思えない。