2013年5月30日木曜日

変なオープニング1 : St. George Defence

今までに知った変なオープニングの紹介をしていきたい。

第一回 :  St.George Defence (1.e4 a6?!)


 いかにも悪手。センター支配とは何の関係性もなさそうであり、駒の展開に資することもない。 ただ、...a6という手は、多くのオープニングで用いられるため他のオープニングに移行しやすい。例えば、シシリアンだったらほとんどのバリエーションで...a6を含むバリエーションがある。また、Modern Defenceにも1...a6のバリエーションがある。したがって、1...a6から始めてもそれらのオープニングに移行(transposition)することはできる(分岐参照)。

 ただ、今回扱うのは2...b5からのメインライン(?)。

 Bulletで何回か使ったことがあるが、感触としてはそれほど悪くない。フィアンケットしたビショップでe4にプレッシャーをかける。b5のおかげで白はNc3ではe4を守り難い(...b4とくるため)。 また、...e6とすることにより、キングサイドビショップの展開が図れる。しかし、マイナス点としては、展開があまりにも遅すぎるということだろう。ビショップをフィアンケットするためだけに、3手も使っているのは致命的。 しかし、このオープニングのラインを白番でおさえている人はほぼ皆無ということは大きな利点かもしれない。

 実際、上記局面は、2...b5から始まるゲームで最も指された回数が高いラインを示しているのだが、9手目で白がいきなりブランダーをしている。 これは、やはり白は白で混乱してしまっているということだろう。 ということで、奇抜なオープニングで相手を驚かせたいというのなら、なかなか面白いオープニングかもしれない。

 もっとも、このオープニングが単なる変なオープニングで終わらず、それなりに知られるようになったのはかつてのチャンピオン、アナトリー・カルポフが白番で負けてしまったことにあるようだ。


負けた後は憤死レベルで悔しかっただろう。この棋譜の詳しい解説はここを参照。
カルポフを倒したオープニングということで試してみたい人は是非。

4 件のコメント:

  1. マイナーオープニングは興味はあっても使い続ける気にはなりませんが、相手が使ってきた場合は侮れません。たまにしか遭遇しないオープニングは対応法を忘れやすいですから。

    メジャーオープニングでマイナー変化は相手が困惑する場合が多いので狙いどころの1つですが、メインラインを学ぶのも大事ですね。

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  2. 自分のメインウェポンにするというにはさすがに恐ろしいですが、1つか2つぐらい突飛なオープニングを持つというのも良いかもしれません。ただ、やっぱりメインラインの方が指しやすいものが多いのも事実ですね。

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  3. こんにちは。
    St. George Defenceは少し前にChess.comで出会いました。その試合は主戦場がクイーンサイドに集中したので、あまりa6の影響は受けませんでした。
    あと、あまり強くないゲームサイトのコンピューターがときどき使うことがあります。
    しかし油断すると痛い目を見そうですね。

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  4. >新人さん
    一瞬バカにしているのかと思えてしまうオープニングですが、油断はできませんね^^;

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