変なオープニング第三回は、Ruy Lopez Alapin Defence。
最初にこのシリーズのコンセプトを述べていなかったが、奇抜または珍しい手ではあるが意外にそこそこ戦えるオープニングを紹介していくことにしている。したがって、明らかな悪手といえるオープニングについては紹介しない。
第三回: Ruy Lopez Alapin Defence
ルイ・ロペスはシシリアンと並んで定跡の研究が最も進んでいるオープニング(らしい)。例えば白番でルイ・ロペスを選択する場合、Steinitz, Open, Closed, etc...たくさんの黒番の手に対応できるようになっておかないといけない。
そんなルイ・ロペスだけあって、黒の使うサイドラインは多く、同時にいかがわしいものも多い。最もいかがわしそうなものなら、1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bb5 a5?!という...a5とすることに何か意味があるかわからないBulgarian Variationというのがある。ただし、これは奇抜狙いだけっぽいので除外。
そうすると、いかがわしく、かつ、多少は使える(かも)怪しいサイドラインとして何があるか。そこで、今回紹介するのが、Ruy Lopez Alapin Defence。
d6とする前にビショップを外に出し...Nge7とする。Nf6としてしまうと、e5のポーンがとられてしまうので良くない。白としては、Na3-Nc4で黒ビショップをつぶすのが良い。 こんないかにもダメそうなオープニングだが、それほど勝率は悪くない。例えば、自然そうな展開で・・・4.c3 Ba5 5.0-0という風に進んだ場合(上記ダイアグラムの最終局面参照)の勝率は、CHESSBASEのMegadetabase(500万ゲーム以上収録)によれば・・・
29% : 34% : 37% (白勝:ドロー:黒勝)
と黒が勝ち越している。もっとも、サンプルが85ゲームと少なすぎ信憑性に欠ける。ただ、同ポジションにおいて、マスターレベル(レーティング2200以上)の場でも同様に
18% : 36% : 45% (白勝:ドロー:黒勝)
と黒が大幅に勝ち越している。(但し、これまたゲーム数が22しかないので信憑性のカケラもないが・・・)。
とはいえ、こんないかにも怪しいオープニング、さすがに強いプレイヤーは使っていないだろうと思っていたら、いた。しかもGM。スウェーデンのJonny HectorというGM。 最高レーティングは2590と非常に強い。マイナーなオープニングを使うことでも有名なGMらしい。 そんなJonny Hectorのゲーム+興味深そうなゲームをいくつか紹介。
Alexander Ivanovは強いGMだが、そんなGMがこのいかがわしいオープニングにやられてしまった棋譜。オープニングがどうこうよりも、最後に大ブランダーをしてしまったのが敗因だが・・・
ギスギスした互角のルークエンディングにまでもつれこんだ末Hectorの勝利。
スーザン・ポルガーにも使ってみました(Zsuzsaはハンガリー名)。が、負けた棋譜。
参考資料
No Passion For Chess Fashion
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